2026年7月16日に公表された305人への調査で、最もよく使うAIはChatGPTが47.5%、Geminiが29.5%、Perplexityが3.6%という結果が出ました。「一番使われているAIはChatGPT」という見出しが注目を集めていますが、この数字が何を測ったものなのかは、少し立ち止まって確認する価値があります。この記事では、結果の中身と、この手の調査の読み方を、確定・解釈・不明を分けてやさしく整理します。
- 今回の305人調査では、最もよく使うAIはChatGPT47.5%・Gemini29.5%・Perplexity3.6%だった
- 複数のAIを使い分ける人も9.5%いた
- これは自己申告の「最もよく使うAI」であり、日本全体の市場シェアではない
- 回答者の募集方法や調査時期が公表されておらず、一つの参考値として読むのが安全
先に結論:ChatGPTが最多、でも市場シェアではない
今回の調査でChatGPTが最多だったのは事実です。ただし、これは日本全体のAI市場シェアが確定したという話ではありません。
注目したいのは「ChatGPTが1位だった」ことだけではありません。利用率、市場シェア、最もよく使うAIは、それぞれ意味が違います。今回のニュースは、AIの順位を決める材料というより、調査結果をどこまで信じてよいのかを考える題材として見ると分かりやすくなります。
305人に「最もよく使うAI」を聞いた調査
2026年7月16日、ナレッジホールディングスが、生成AIの利用状況に関する調査結果を公表しました。
調査対象は20〜59歳の男女305人です。インターネットアンケート形式で、最もよく利用しているAI、利用頻度、AIを選ぶ理由の3項目が質問されました。
| 回答 | 割合 | 人数の目安 |
|---|---|---|
| ChatGPT | 47.5% | 約145人 |
| Gemini | 29.5% | 約90人 |
| Perplexity | 3.6% | 約11人 |
| 複数を使い分ける | 9.5% | 約29人 |
| AIを使っていない | 9.8% | 約30人 |
この調査の中では、ChatGPTがGeminiを約18ポイント上回りました。一方で、Geminiも29.5%を占め、今回の回答者の中では一定の存在感がありました。ChatGPTだけに利用が集中している、という結果ではありません。
「利用率」「市場シェア」「最もよく使うAI」は別の数字
今回の調査で分かったのは、回答者が自己申告した「最もよく使うAI」であり、市場シェアではありません。
似た言葉でも、調べている内容は異なります。
| 言葉 | 主な意味 | 確認したい条件 |
|---|---|---|
| 利用率 | 調査対象のうち、サービスを使った人の割合 | 期間、利用経験の定義 |
| 市場シェア | 市場全体に占める割合 | 売上、契約数、利用者数、アクセス数など |
| 最もよく使うAI | 回答者がメインだと考えるAI | 選択肢、自己申告、回答方法 |
今回の質問は「現在、最もよく利用しているAIサービスはどれですか」という単一回答です。そのため、「ChatGPTの国内利用率が47.5%」「生成AI市場の47.5%をChatGPTが占める」と言い換えることはできません。
AIを選ぶ理由は「性能」だけではない
利用者は回答の賢さだけでなく、使いやすさや無料範囲、速さも重視していました。
AIを利用している275人に、サービスを選んだ理由を複数回答で聞いた結果は次のとおりです。
| 選んだ理由 | 割合 |
|---|---|
| 使いやすい | 50.2% |
| 無料で使える範囲が広い | 42.6% |
| 回答が速い | 40.0% |
| 検索に強い | 38.6% |
| 回答の質が高い | 36.0% |
最も多かったのは「使いやすい」でした。ただし、これは「ChatGPTの性能が最も高い」と証明する結果ではありません。利用者が多いことと、あらゆる用途で性能が優れていることは別の話で、性能表の数字だけでなく、画面の分かりやすさや無料で試せる範囲も、選ぶ際に重視されていることがうかがえます。
「週に数回以上が82.2%」は誰の中での数字か
82.2%という数字の分母は、全回答者305人ではなく、AIを利用している275人です。
AI利用者275人の利用頻度は、「ほぼ毎日」が45.8%、「週に数回」が36.4%でした。この2つを合わせて、週に数回以上使う人が82.2%とされています。
ここだけを見ると「回答者の8割以上が日常的にAIを使っている」と受け取ってしまうかもしれません。しかし、AIを使っていない30人は、この利用頻度の集計に含まれていません。全回答者305人を分母に置き直すと、週に数回以上使う人は約226人で、全体の約74%です。どちらも同じ調査結果ですが、分母によって受ける印象は変わります。
数字を読むときに注意したい点
今回の調査は興味深い一方、日本全体の傾向に広げるには分からない情報が残っています。
とくに気をつけたいのが、少人数の割合です。リリースでは、Perplexity利用者の72.7%がほぼ毎日使うとの結果も紹介されています。ただし、母数が約11人のグループでは、1人違うだけで割合が約9ポイント変わります。
さらに、調査方法はインターネットアンケートとされていますが、回答者をどこで募集したのかは公表資料から確認できません。ClaudeやMicrosoft Copilotなどをどう扱ったのか、完全な調査票も公開されていないため、回答者に示した選択肢によって順位や割合が変わる可能性もあります。
また、調査を発表したナレッジホールディングスは、SEOやLLMOなどのマーケティング支援を行う企業です。企業が自社で調査を行うこと自体に問題はありませんが、リリース内の集計結果と、発表企業による分析や意味づけは分けて読む必要があります。
確認できたことと、まだ分からないこと
調査で公表された事実と、資料だけでは判断できない点を分けると、ニュースの輪郭が見えやすくなります。
実際、別の大規模調査では、生成AIを利用した人の割合を約5割とする結果も公表されています。設問や対象年齢が異なるため直接比較はできませんが、今回の回答者はAI利用者が多い集団だった可能性があります。
このニュースから分かること:順位より「調査の中身」を見る
順位そのものより、ChatGPTとGeminiが主要な選択肢となり、複数のAIを使う人もいることが見えてきます。
今回の調査では、ChatGPTをメインにする人が最多でした。一方で、Geminiも約3割を占め、使い分ける人も約1割いました。少なくとも一部の利用者が複数のAIを使い分けていることは分かりますが、今回の調査では具体的な利用シーンを聞いていないため、どの用途で何が選ばれたかまでは分かりません。
そしてAIニュースを見るときは、順位だけでなく次の点を確認すると、数字の意味を落ち着いて読めます。
この結果だけでAIを乗り換えたり課金したりする必要はない
利用者が多いという理由だけで、現在使っているAIを変更する必要はありません。
ChatGPTが最多だったことは、知名度や使いやすさを知る参考にはなります。ただし、文章作成、検索、画像生成、長い資料の整理など、得意分野はサービスや機能によって変わります。
まとめ:分かったのは「305人の回答傾向」まで
今回の調査ではChatGPTが47.5%で最多でしたが、分かったのは305人の回答傾向までです。
- Geminiは29.5%、Perplexityは3.6%で、使い分ける人も9.5%いた
- AIを選ぶ理由は、性能だけでなく使いやすさ・無料範囲・速さも重視されていた
- 回答者の74.1%が男性、Perplexity利用者は約11人、募集方法や調査時期は非公表
「ChatGPTが日本の市場シェアで1位」と受け取るのではなく、「今回の305人調査では、メインのAIとしてChatGPTを選ぶ人が最多だった」と整理するのが正確です。AIに限らず、調査ニュースでは「何%だったか」と同じくらい、「誰に、何を、どう聞いたのか」を見ることが大切です。
参考情報
この記事は調査リリースと主要報道をもとに整理しています。調査時期・対象地域・回答者の募集元・補正の有無は公表資料から確認できず、日本全体の利用率や市場シェアを示すものではありません。最終的な数字の解釈は、必ず一次資料でご確認ください。







